Ride in Kyushu Day 64 (17/2/19) Enodake Mountain 可愛岳

Enodake Mountain 可愛岳
Eboshidake Mountain 烏帽子岳

Seinan Civil War Enodake 西南戦争 可愛岳

朝、宿から10キロほど自転車で走り、昨日訪れた資料館に到着。可愛岳を西郷軍とほぼ同じ道を登る事になる。登山サイトでチェックすると、難易度中級とあった。本格的な登山はした事が無いので中級レベルとはいかなるものかはわからないが、上級で無ければ何とかなるだろう。登山口は資料館のすぐ近くにある。そこには桐野利秋が宿営した民家があり、西郷軍は17日の夜中にここに集まり、午後10時に行軍を開始した。
登って見て、今まで登った山よりもきつい事に気がついた。行程の殆どが急坂で平坦な道はほとんどない。山道は地元の人が定期的に整備をしてくれているので、比較的歩きやすい。何ヶ所かは難所があった。かなりの急坂でロープが張られてこれにつかまり登らなければならない所。岩をよじ登る所、道が小さな岩で覆われて、足首を挫きそうになる所など。筋力のない女性や年配の人にはかなり辛いだろう。ただ、考えように寄っては、変化に富んだ山道とも言える。
西郷は途中までは籠で移動、それ以上はよじ登らなければならない所が多く、徒歩にて行軍。籠で移動した所も急坂と思うが、籠を担いだ人は大変だっただろう。出発の翌日18日午前4時30分頃、前軍が頂上近くの稜線の中の越に到達。下の地図で黄色の線が西郷軍の通ったルートでザレの頭で可愛岳と烏帽子岳への分岐点がある。
今回の登山ではまず可愛岳に行き分岐点まで戻り烏帽子岳に行った。烏帽子岳から鬼の舟まで移動し資料館まで別の登山道で下山した。ほぼ西郷軍が通ったルートは網羅している。西郷軍の前軍が中ノ腰まで6時間かかっている。武器や平坦も運びながら、そして斥候を送り官軍の様子を探りながらの行軍だっただろう。単なる登山だと2時間半で着く距離だ。西郷軍は北斜面の政府軍の警備が手薄である事を知り、中軍・後軍の到着を待って突撃を敢行。不意を衝かれた政府軍第1・第2旅団は混乱し退却。薩軍は政府軍の銃弾約3万発・砲一門等を奪い逃走。この日は祝子川 (ほうりがわ) 上流の和久塚・地蔵谷で野営。兵力の差は如何ともし難く連日の負け戦だが、局所戦ではまだまだ強い西郷軍だ。この強さと粘りは鹿児島人特有のものなのか?
山道は殆ど杉林の中を行く。見晴らしがよく下界が臨めるところは数カ所。可愛岳山頂の手前にのぞきと呼ばれる場所がある。岩の崖でどこから下が見える。修験者がロープで逆さ吊りの修行をしたところらしい。高所恐怖症なのでとてものぞきは出来ず。手前から写真を撮るのが精一杯。
可愛岳山頂に到着。猫の額ほどの山頂、先客がいた。2人組で食事をしていた。挨拶を交わし、こちらは反対側で昼食。この登山で出会ったのはこの2人組の他は1人だけだった。2組とも本格的な登山装備をしていた。麓の資料館には多くの訪問者が来ていたが、資料館のついでに登れるような感じの山ではないから観光客向きでないかもしれない。中山道の旅以降は登山スティックを二本持って来ている。これがあると、登山は驚くほど楽になる。まず腰への負担が少なくなり、以前は登ると腰にきていたのが嘘のようになくなる。今回は結構ハードな登山だが、翌日は特に痛みもない。優れものだ。
登山は結構気に入っている。自転車の坂道よりは楽かもしれない。本格的に登山もやってみたくなった。自転車で移動して登山もいいかもしれない。
可愛岳の後、烏帽子岳を目指す。急坂(殆ど崖だが)を降りるのも、結構大変だ。旅行中の事故は厄介なので、慎重に降りる。分岐点から烏帽子岳は楽なコース。資料館への下山ルートも楽勝。
この山道は昔から存在していたからか、いくつか名前が付いているところがあった。山道の目印に名をつけたものや、信仰の対象になった大岩や奇岩など。
西郷軍はこの後、山中を行軍し、鹿児島にたどり着き、城山で最後の戦いをし散ってしまう。西郷軍の道を辿ってみたいが自転車では行けるような所では無いので、本日で西南戦争を辿るのは最後になる。全て行った訳では無い。下調べが不十分で、旅行中に調べながらと思っていたが、夜は疲れて出来ない時もあった。インターネットで探し出せず、後か思いもかけず、もう通過してしまった所に西南戦争所縁の地をみつけたとか。
ただ、西南戦争が単なる不平士族の反乱と片付けられず、そこには次の時代を夢見てそれぞれがそれぞれの理想を追いかけた思いがつまっていた。時代が変わる時に、このようなエネルギーが発生する。それがひしひしと伝わって来た。薩軍の大半が戦争で逝ってしまったのだが、後世に何かを残している事は確かだ。旅で一つのテーマを何日もかけて追いかけると、見えなかったものが見えてくる。それは単に過去の出来事を知るだけでなく、今や今後をどうすべきなのかのヒントを与えてくれる。
九州の旅も終盤に差し掛かった。残りの期間で何か発見があるかもしれない。楽しみだ。

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