Ride in Setouchi & San-in Day 75 (29/5/19) Korakuen 後楽園

Korakuen 後楽園
岡山城のある方から橋を渡れば後楽園

Korakuen 後楽園

日本三大名園の一つ。金沢の兼六園、水戸の偕楽園。兼六園は数ヶ月前に行った。池田光政の息子の岡山藩第2代藩主の池田綱政が造営した。見学した後の感想を始めに書くが、兼六園とは雰囲気が随分違う。規模は兼六園の方が大きく華やかな印象に対して、後楽園は非常に落ち着いて、空間が広く取られている。兼六園には無いちょっとした趣向もあり、甲乙を付けられない。個人的には後楽園の方が好みに合っている。
観射亭/弓場/観騎亭/馬場
庭園の中に弓場や馬場があるのは珍しい。栗林公園や兼六園ではお目にかからなかった。武術に重きをおいていたのか。180mの馬場には観騎亭と弓場には観射亭と文字通り家臣の武術を見る小屋がある。
沢の池
庭園中心に池を作り三つの島が浮かんでいる。砂利島、御野島、中の島。岡山城が池の向こうに見える。
砂利島
御野島と中の島
池の周りには池と庭の木々を眺めて楽しむ東屋や小屋が数軒ある。
寒翠細響軒
五十三次次腰掛茶屋
趣のある格子窓。微妙な曲がり具合が良い。五十三次の扁額があったという。
慈眼堂
池田綱政が建てた観音堂。運ぶ際に36個に割り元通りに組み上げた烏帽子岩。面白い発想。敢えて壊しそこに美を感じる文化。茶器も同じような発想の物があったと思う。
茶畑と井田が池のほとりにある。井田はよく庭園内にあるのを見たが茶畑は初めて。藩主の飲む茶葉はここで生産された。
茶畑の端に新殿。幕末期の建物。端にあるので庭園中心全体が見渡せる
ここから奥には手入れされた林になっている。千入の森(紅葉)、桜林、梅林と続く。今はどれも花の季節ではないが、春/秋は見応えがあるだろう。
この3つの林を竹林が囲っている。これも日本的な雰囲気を醸し出している。
茶祖堂
元々は下屋敷にあった利休堂を明治時代に移設したもの
茶祖堂の脇に東門があり、ここが後楽園の東の端になる。
沢の池からここまでが川で結ばれて花交の池がある。花で溢れていたことによりこの名がついた。
ここから川に伝って沢の池まで戻る。
花交の滝
花菖蒲畑
8枚の板で構成した小さな八橋
そして休み処の流店。藩主の庭園の散歩の途中の休息所として使われた。亭の真ん中に川が流れている趣のある造り。更にその川には石を置き趣きを増している。
川を挟んだ隣には山をイメージした唯心山。山頂(?)には休み所。何を狙っているのか池のほとりに青鷺。池や川には鯉など魚が泳いでいるのでそれを狙っているのだろう。人が近ずいても逃げない。獲物に集中しているのか?
先ほどの梅園からここまでには藤棚と蘇鉄畑がある。
廉池軒 鯉が優雅に泳いでいる。手入れが行き届いているのか水が澄んでいて鯉が一層風景に溶け込んでいる。
南門
御船入跡 後楽園と岡山城との行き来は船であった。現在かかっている橋は昭和に作られた物。
二色が岡 山桜と楓が植わっている。春は桜、秋は楓と季節が感じられる様になっている。
ここには茂松庵、四天王堂、地蔵堂がある。
茂松庵の前には花葉の池がある。大きな岩の大立石が唱栄橋の袂にある。大立石は先ほど見た烏帽子岩と同様に90個に砕いた岩を組み立てた造りになっている。
延養亭 藩主の居間 今日は貸切になっていて内部は見れない。ここから見る庭園はまるで絵画の様に見えるそうだ。インターネットでその写真を探してみた。絶景!
鶴鳴館 迎賓館として使用された。一般公開はされていないので外見のみ。
庭園内に奇妙な鳴き声がする。ここでは丹頂鶴を6羽飼っている。今は檻にいるのだが江戸時代は放し飼いになっていた。昭和まで放し飼いであったが、街まで飛んでいって色々と問題があり、今は週2回庭園内を散歩させている。
庭園内散歩の様子 (インターネットから)

岡山県立博物館

後楽園の目の前が博物館。つねさんのお薦めの場所。鳥取ではやまびこ館で池田氏について詳しく展示していた。この岡山と鳥取は同じ池田氏一族が治めていた。岡山ではどのように展示しているか興味がある。
展示内容は典型的なやり方で、縄文時代から始まり、時系列に歴史を説明、それに関連する資料を展示している。面白くない。ストーリー性が無く。教科書か参考書の抜粋の様な感じだ。一番多くスペースを割いている時代が昭和でそれも昭和に民衆の生活様式。岡山の歴史に関しては満足のいくものでは無かった。配布された資料は以下。
弥生時代の特殊器台はこの地方独特の埴輪
戦国時代から池田氏の岡山藩についての詳しいものは無く。池田氏については岡山藩に限定した系図ぐらいで鳥取のやまびこ館程は詳しいものはなかった。岡山藩池田氏と鳥取藩池田氏は親類関係ではあったが岡山藩池田氏は鳥取藩池田氏を下に見ており、水面下での対立があったようだ。ひょっとして岡山にはまだそのメンタリティが残っているのかもしれない。
それよりも、見応えがあったのは刀剣、備前焼、仏像の3つの展示だ。この3つは撮影禁止なのでお見せ出来るものは無いが、特に刀剣の展示は非常に良かった。解説も丁寧にしてあり、日本刀の芸術性を理解し、感じることが出来る。明日はこの刀鍛冶の街の長船に行ってみる。
仏像に関しての資料
備前焼も良かった。備前焼は須恵器で上薬を使っていない、ごくプリミティブな製法を継承している。世の中が陶器と磁器に人気が移る中、備前焼は須恵器の系統で勝負していた。もっとも磁器の原料になる土が岡山近郊では入手困難であった事も関係しているのだろう。

岡山藩の代表的な陶器が現れたのは幕末で虫明陶器がある。虫明というところで生産された。当初は磁器を生産していたが、磁器人気が衰退し、陶器生産が主流となった。
博物館の展示物は素晴らしいものがあったが、全体的にはごく一般の博物館だった。期待が大きすぎたのかもしれない。
今日は一日中後楽園と博物館に費やし、博物館を出たのは6時だった。後楽園は中洲にあり、この中洲を一周して宿に向かう。夕方で気温も下がり涼しくなっている。岡谷城を見ながら走る。

1コメント

  • 1000 / 1000

  • sumito dohi

    2019.05.30 04:37

    なかなかボリュームのあるブログでした(笑)個人的には兼六園も偕楽園も何度となく訪れたことがあるのですが、この後楽園(私の家の近くのではない)はまだ伺ったことがありません。地元熊本の水前寺公園(スケールも美しさも比べたら迷惑なくらいの差がありますが)を連想させる造りなのは、この後楽園です。当時の造園手法には何かしらのお手本というのか流れというのかがあったんでしょうね、きっと。 こういった庭園は、当時としては最新で最高の娯楽(限られた人たち向けですが)の一つで、角度一つ、置かれているもの一つ、木々の配置から路の動線一つ取っても様々な趣向が凝らされているのでしょう。そう考えると、ただの観光地としてオープンにするだけでなく、「説明する」というサービスはもっと充実させたいですね。特にインバウンドサービスに関しては。 しかし、、、気持ちよさそうな空気感がうらやましいです。